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三層絶縁電線(TIW)・FIW・エナメル線+絶縁テープ——トランス巻線絶縁3方式の選び方

2026-07-11

絶縁変圧器の一次側・二次側間の強化絶縁を実現する3つの主流方式を、中立的な規格の観点から比較し、製品条件に応じた選定の考え方を整理します。

絶縁変圧器を設計する際、一次側と二次側の間の強化絶縁(reinforced insulation)を実現する方法には、主に3つの方式があります:従来のエナメル線+絶縁テープ、三層絶縁電線(TIW, Triple Insulated Wire)、そして全絶縁電線(FIW, Fully Insulated Wire)です。いずれも安全規格に適合できますが、体積・工程・コスト構造・設計自由度に違いがあります。本稿では中立的な規格の観点から比較し、製品条件に応じた選定の一助となる情報をご提供します。

[IMAGE caption: 三層絶縁電線の断面——3層押出絶縁であり、VDE 40008834 により IEC 62368-1 Annex J に基づいて強化絶縁(Reinforced/Extruded/3 layers)と評定されています]
[IMAGE caption: 三層絶縁電線の断面——3層押出絶縁であり、VDE 40008834 により IEC 62368-1 Annex J に基づいて強化絶縁(Reinforced/Extruded/3 layers)と評定されています]

3方式の原理の違い

従来のエナメル線+絶縁テープ:巻線そのものはエナメル皮膜(基礎絶縁)のみで、一次側・二次側間の隔離は、層間の絶縁テープと両端に確保する沿面距離(マージン)によって成立させます。工法として成熟しており線材単価は最も低い一方、テープとマージンが巻線窓のスペースを占有するためトランスの小型化が難しく、巻線・テープ貼り・整線と工程数も多くなります。

三層絶縁電線(TIW):導体の外側に3層の絶縁を押出被覆します。DAH JIN の TLW-B/TLW-BB/TLW-B7STLW-F を例にとると、3層押出絶縁であり、VDE 40008834 により IEC 62368-1 Annex J に基づいて強化絶縁(Reinforced/Extruded/3 layers)と評定されています。絶縁が電線そのものに施されているため、一次側と二次側を直接並べて巻くことができ、層間テープと沿面距離の確保が不要になります。トランスの体積を明らかに縮小でき、工程も削減できます。

全絶縁電線(FIW):エナメル工法で絶縁ワニスを多層連続塗布し、より厚い皮膜を形成した巻線です(規格は IEC 60317-56:2017、熱等級 class 180)。IEC 62368-1 第3版以降、所定の条件を満たせば強化絶縁として使用できます。線径範囲の並記:FIW(IEC 60317-56)の導体は 0.090–0.900 mm。DAH JIN の認証範囲は認証機関によって異なり、UL E236542 では TLW-BB が 0.11–1.5 mm、VDE 40008834 では TLW-B/TLW-BB/TLW-F が 0.10–1.00 mm の範囲でカバーされています。FIW は超小型・高周波設計に適していますが、皮膜は同一材料の連続層であるため、安全規格の検証経路と端末処理が TIW とは異なり、用途によっては耐電圧と沿面距離の確認のために他の絶縁手段を併用する必要があります。

比較早見表

エナメル線+絶縁テープ

  • 強化絶縁の実現方法:テープ+沿面距離
  • 巻線工程:最多(テープ貼り/マージン確保)
  • 端末処理:皮膜の剥離が必要
  • 安全規格の経路:構造による検証

三層絶縁電線(TIW)

  • 強化絶縁の実現方法:電線の3層押出絶縁
  • 巻線工程:少(直接並巻き可)
  • 端末処理:DAH JIN の TLW-B/TLW-BB/TLW-B7S/TLW-F は絶縁層を事前に剥離することなく直接はんだ付けが可能です(製品資料による)
  • 安全規格の経路:IEC 62368-1 Annex J/61558-1 Annex K の電線経路

全絶縁電線(FIW)

  • 強化絶縁の実現方法:厚膜エナメル(単一材料)
  • 巻線工程:少
  • 端末処理:はんだ付け可能タイプ(IEC 60317-56 solderable)、はんだ付け条件はメーカー仕様によります
  • 安全規格の経路:IEC 62368-1 ed.3 以降の FIW 経路

TIWが適するケース

  1. 充電器・小型SMPSのトランス(IEC 62368-1 Annex J):スマートフォン/ノートPC用充電器では電力密度の競争が激しく、テープとマージンを省略できる体積上のメリットが、そのまま製品サイズに反映されます。
  2. はんだ付けフレンドリーな生産ラインが必要な場合:大晉 TLW シリーズは被覆を剥離せず直接はんだ付けが可能で、端末工程はエナメル線・FIWのいずれよりも少なくなります。
  3. 医療用電源(EN/IEC 60601-1):TLW-BB/TLW-B7S は患者隔離要求の達成を支援します(実際の耐電圧は医療機器としての等級に基づく検証によります)。
  4. 高周波で表皮効果が顕著な設計:撚線タイプの TLW-B7S(7本同心円撚り)は、三層絶縁を保ちながら高周波での交流インピーダンスを低減します。

よくあるご質問

TIWで絶縁テープを完全に置き換えられますか?

一次側・二次側間の隔離用途では、三層絶縁電線そのものが強化絶縁を構成するため、層間テープと沿面距離の設計を省略できます。ただし、トランス全体としては適用規格に基づく安全認証を別途完了する必要があります。

TIWの熱等級にはどのようなものがありますか?

大晉では B(130°C、TLW-B シリーズ、導体径 0.10–1.50 mm)と F(155°C、TLW-F、0.10–1.50 mm)をご用意しており、いずれも UL(E236542)と VDE(40008834)の認証を取得しています。

電線の認証が本物かどうかは、どのように確認できますか?

UL Product iQ でログイン不要のままファイル番号 E236542 を検索すると、DAH JIN TECHNOLOGY のエントリーを確認できます。手順の詳しい解説は、当サイトの記事「UL 2353 とは?」(/ja/news/verify-ul-2353)および「技術証明書」ページをご覧ください。

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